長太郎の手は優しい。白くて長いゆびはテニスをしているにも関わらず、とても綺麗だ。ピアノの鍵盤を触るときや、家で飼っている猫のシフォンを触るときの手の動きは、とても繊細で優しく、まるで長太郎の性格をそのまま現しているかの様な動きは俺の心を捉えて放さない。あの、綺麗な手に触りたい、触れられたい、そんな俺の醜い欲望は、白い液体となって消える。そんな時俺は、真っ白で綺麗で純粋な長太郎を汚してしまった気分になり、自己嫌悪に陥るのだ。けれども、何度後悔しようと、俺の醜いこの感情が消えることはない。
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