皆が帰宅した後の部室で、ソファに並んで座りながら、のんびりとした時間を過ごす。これが、ここ最近の俺たちの日課である。
「ねぇ、宍戸さん。ひとつだけ、俺のお願いきいて?」
「ん?どーした?長太郎」
「あのね、宍戸さんのわき、舐めたいです」
にっこり、と効果音がつきそうな綺麗な笑みを浮かべ、長太郎は言葉を吐いた。ね、お願い、とまるで欲しいおもちゃをねだる子どもの様に、長太郎は可愛らしくこてん、と首を傾げながら、俺の体を優しく抱きしめる。けれども、そんな長太郎を俺はただ呆然と見つめる他出来なかった。
こいつは今、一体、何と言った?わき?舐めたい?それは一体どういう意味だ。
全くもって理解が出来ない。
けれども、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、長太郎は勢い良く俺の腕を持ち上げ、脇に顔を埋めた。
「宍戸さん、においがする」
「馬っ鹿、当たり前だろ!部活上がりなんだからよ!ほら、汚ねぇからさっさと離れろ!」
「やだ」
必死に長太郎の頭を押し返すが、その抵抗は虚しく、更に強く脇に顔面を押し付けられる。長太郎の柔らかい髪の毛が時折二の腕を擦り、何ともいえないむず痒さが全身を襲う。必死に腰を捩り、身体を離そうとするものの、長太郎の左腕に拒まれ、動くことが出来ない。
「やめろ、って」
「んー、だって、宍戸さんの匂いってすっごいエロいんですもん」
「エロ、いっ、て…」
「あ、脇湿ってる。ふふ、感じちゃいました?」
人差し指の腹を使い、ゆっくりと脇を押され、肩がびくん、と跳ね上がる。不快感を表すかの様に長太郎を睨みつけるが、先程の俺の反応に気を良くしたのか、にやにやと口元を緩めている。真に腹立たしい。
「馬鹿、か、お前、いい加減放せよ」
「や、です」
「汚いし、くさいだろ」
「んー、あ、あーん」
そう長太郎が言うと同時に、生暖かいものが脇をなぞる。何だ、これは。ぞわぞわと背筋を駆け抜けるこの感覚は一体。否、この感触を俺は知っている。場所は違えど、俺は今まで幾度もこいつにされてきた行為だ。舐めた。こいつ舐めた。今絶対舐めた。確信すると同時に、全身の血が引くのを感じる。
「宍戸さんのあせ、おいしい…!」
(チャット派生ねた)