宍戸さんが痛い子です
全体的に残念なお話/(^o^)\

































長い沈黙を破ったのは、宍戸の笑い声だった。真剣な告白を冗談と捉えられたのか、と長太郎は顔に血が登るのを感じた。しかし、そんな長太郎に気づくでもない宍戸は、笑顔のままで言葉を紡ぐ。

「お前さ、趣味悪いよ」
「何でそんな事言うんすか」

予想だにしなかった宍戸の言葉に、長太郎は、頭を鈍器で殴られた様な衝撃を受けた。無神経な宍戸の言葉に苛立ち、ギリギリと唇を噛みしめ、その発言の真意を問う。

「だって、愛想の欠片もなければ、優しい性格でもない、短所だらけ俺を、好きになるとかおかしいだろ」
「そんな、俺は」

平然とした表情で、当然の様に話す宍戸に、長太郎は戸惑う。長太郎の感情を否定する訳ではなく、己を否定する彼の言葉に頭がついていかない。

「俺でさえ、こんな人間ねぇな、って思ってるんだから、お前がうざいと思うのも無理ないと思うんだよな」
「違います。俺は、宍戸さんが好きで」

放っておいたら見当違いな、ひどくマイナス思考な発言を続けると思った長太郎は再度、宍戸に己の気持ちを伝える。しかし、長太郎の気持ちを露知らず、宍戸は更に言葉を続ける。

「それもさ、お前の思い込みだよ。ダブルスのパートナーだから一緒にいる時間が増えて、信頼を好きだとかそういう感情に錯覚してるんだよ。それに、テニスに関しては信頼してくれて構わねえけど、俺を人として信頼するのは、止めといた方が良いぜ。こんなやつ、信じるだけ時間の無駄だからな」
「そんな言い方しなくても…」
「だって事実だから仕方がないだろ?」

何故そんな表情をするのか、心の底からわからないといった様に、きょとんと宍戸は首を傾げる。
その無垢で、純粋で、自然な動作に、長太郎は心臓がどくどくと波打つのを感じた。肺が膨らみ、呼吸が苦しくなるのを感じる。

「俺さ、鳳のことは嫌いじゃねーんだよ。お前良いやつだし、こんな俺でも普通に喋ってくれるしよ、だからさ、鳳。幸せになれよ、俺、願ってるから。」

そういい、にこりと笑った彼の笑顔は、非のない程完璧な笑みだった。綺麗で大好きな宍戸の笑顔を、長太郎は、初めて怖いと、悲しいと感じたのだ。


(・・・色々とごめんなさい、)
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